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霜月十一月もはや三分の一が過ぎて、来月になったら馴染みのお蕎麦屋さんで年越しそばの注文をしなければな... -
El Comienzo
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待機する読書
喫茶店や電車の中、本は場所を選ばずにどこでもひらけるものだけれど、いざ読みだすとまわりのひと... -
静かな家
私の住む部屋の窓は高架の線路に面していて、朝夕のラッシュ時間になると複々線のその線路を大きな... -
ルリマツリの青
風の冷たさが襟の隙間から入り込んできて、身を縮めながら歩く朝の道で、初夏のころから毎日通りし... -
木をくぐる
仕事からの帰り道、職場を出て交差点を渡ったところに一本の大きな木がある。特別に理由があるわけ... -
愛情について
他者が自分に向けてくれた親しみや、思いやりが、あとから考えてみれば疑いないようのないものだったと... -
生きている文字
須賀敦子のエッセイに『塩一トンの読書』という作品がある。教科書にも載っているから読んだことのある... -
午前三時の自省録いったい私は人生の苦しい季節をどうやって乗り越えてきたのだろう。今よりつらいことは沢山あったはず... -
風の吹く家
親しいひとの幾人かが鬼籍に入り、この思い出にしか姿をみることのできない人々は、日を重ねるごと... -
常夜灯の影午後になると窓辺にもほとんど陽の入らない東向きの我が家にも、空に薄い雲が広がった日には雲で太陽の... -
唄声のする方へ 最後の瞽女 小林ハル
文治二(一一八六)年、東大寺大勧進職にあった重源の頼みを受けて、西行は奥州へと旅に出た。当時... -
月山とゴムマリ横光利一の弟子として二二歳で文壇デビューを果たしながら、その後六二歳で『月山』を著して芥川賞を受... -
待つことだれかに電話や来客を取り次いだあと、本当なら自身の役目はそこで終わったと考えてもよいはずなのだが... -
無言に付す音
その気になれば世界中の情報が気軽に閲覧できてしまうから、そのうえでは声をもたないひとたちが大勢い... -
部分と全体
数日前から鼻がぐずぐずしているな、と思っていたら、どうやら風邪をひいてしまったらしく、夜になって... -
「それでも」と唱えてみること
小学生のころ、学校の図書室にあった偉人たちの伝記を読んでいて、ガリレオ・ガリレイの残したある... -
風と光の気配
賃貸住宅のせまいベランダにすこしだけ草花を育てているのだが、亡くなった祖母からもらったクリス... -
言葉の落葉
毎日、午後四時になると祖父は風呂を焚きをはじめ、それからテレビをつけて時代劇、あるいは相撲中継を... -
黄金色の爆弾
今は変わってしまったようだけれど以前、丸善のブックカバーには大きな日本地図が描かれていて、店舗の... -
はかなさ の かげろう
露の世は 露の世ながら さりながら 小林一茶のもっとも有名な句のほんとうの美しさをしったの... -
繰り返しの反復
広大な団地が計画にそって一区画ずつ取りこわされていくのを、このまちに引っ越してからというもの... -
たちょーしんの骨
あさから本を読むのに夢中になっていて昼間に急にねむけを感じたとき、本来ならコーヒーをいれるべ... -
記憶の堆積
「歳は二十八。聡明な人で、目に触れたものは即座に言葉にすることができ、耳に触れたものは心に留... -
本と私獅子文六の本がちくま文庫から立て続けに復刊されて人気になっている。それで10代のころ、ほとんどが... -
高尾山
週間予報はあとにも先にも雨ばかりだったけれど、雨雲のほころびみたいに一日だけ晴れた梅雨の合間... -
ハンケン
チケットの半券が好きだ。それもコンビニで発券される決まった用紙に印刷されたものではなくて、美... -
辻邦生《背教者ユリアヌス》をめぐって
午前。永井荷風、夏目漱石、小泉八雲、泉鏡花。六月だというのに気温が三十度を超える墓地で文豪の... -
穏やかさの原理からだの大きな人が湯船に入ると体積でお湯かさが増えるみたいに、その存在だけで身のまわりの空気を... -
辻邦生の読んだプルースト
まえがき 「辻邦生―パリの隠者」展 2017年11月12日、恵比寿の日仏会館で開催されて... -
縮めた身が消える前に
通勤電車の車窓からはいつも河が見える。その河に沿うように高速道路が走っているのだが、私は毎日その... -
車窓にて西国分寺の武蔵野線上りホームは手前で緩い上り坂になるため、進入してくる列車の姿はなんとなく背中を... -
夜明け前
ようやく体がインフルエンザウイルスの封じ込めに成功したらしい発症から六日目の朝、夜明け前に目... -
群馬・ハラ ミュージアム アーク繊細な色彩の山々を背景に淡く青い川がゆるやかに蛇行しながら流れていく。その上を帆を立てた船が進ん... -
2014.11.22 群馬
金曜日、仕事を終えてから夜遅くに高速道路を走る。郊外の立体交差は日々過ごしている円環から他の場所... -
台風の目この十年来、記憶に残っている病のうちでもっとも質の悪い風邪を引いたせいで、この週末、比較的優先度... -
雨粒の下降このひと月というものひたすら下降を続けている。底のない暗闇を延々落ち続けている感じなのだ。毎晩、... -
X24Wa -
梅雨の景色雨ばかり降る梅雨に傘を片手に身を縮めて歩くのは少し不便だけれど、春の華やいだ気分は去り、本格的な... -
Zirkusrecorded and mixed at Bedroom, Jan 2014. -
竹林の中の男
深く一定の周期を乱さぬように、呼吸しながら体の底に澱のように沈んだ疲労を吐き出してゆく。終始無言... -
鳥海山
Sony NEX-7(E 18-55mm) 鳥海山へ登山の朝、マルタイラーメンで朝ごはん。 ... -
秋の合奏
実家に帰り夕食時に両親との会話がふと途切れた時、外から聞こえてくる虫の声がすっかり秋のものである... -
ベルリンの瞬間
“美しい文章”とはどういうものだろう。綺麗な言葉遣いというのとは勿論違う、単語の持つ意味を超えて... -
Florencerecorded and mixed at Bedroom, Aug 2013. -
二重螺旋
バスはエッフェル塔を遠くに見ながらセーヌ川沿いを走っていく。繋留された船。それは繋ぎ止められなが... -
パリの瞬間
フランス農村地帯の夕焼け 大潮のモン・サン=ミシェル 時差ぼけで降り立ったパリ、シャルル... -
2月18日喫茶店で遅い朝食をとり、ぬるくなったコーヒーを飲み干して店を出ると、朝には降っていなかった雨が降... -
WindRecorded & mixed at Bedroom -
秋の空昼食を食べようと入った駅からすぐのガード下にあるなんということもないラーメン屋で、店構えとは対照... -
たむらしげるの世界展Ⅱ 空想旅行
2012.06.01(金)-2012.07.16(月・祝)の期間、八王子市夢美術館で開催され... -
梅雨と猫と犬と結婚と読書梅雨時期の雨はなぜか、その他の季節に比べて心地の良い音がする。湿気が多く蒸した空気は体に疲労を... -
そうだ 京都、行こう。 -
斜陽館 -
六義園傘を差そうかどうか迷いながら霧雨の降る駒込を歩いていた私は、駅前の中華料理店で膨らませた腹をやや... -
synesthesiaAll Instruments by kiyo -
後始末の顛末朝は寝ぼけていて電車の中で本を読むような余裕はないし、帰ってくればすぐに寝てしまうので、毎日、仕... -
blue momentAll Instruments by kiyo -
キケロ―もうひとつのローマ史夜、喉が渇いて自動販売機で飲み物を買おうと外に出たら雨が降っていて、とても久しぶりに湿気のある空... -
空に響く今日は月命日。初めて知っている人の眠る墓前で手を合わせ、しみじみと「いない」というのはなんなのだ... -
駒込散歩所用があったため駒込に行き、来たついでだからと散歩をした。時刻は昼過ぎで何かを食べるにはちょ... -
Untitledいつか、と思っているうちに時間は過ぎ去ってしまうものだ。僕には今まで、沢山の書かなければならな... -
季節のシーソー〜正弦曲線〜堀江さんの文章を読むたびにこの不思議な浮遊感は一体何処から来るのだろう、と思っていた。この『... -
言葉と抑揚〜文章読本〜中村真一郎『文章読本』 口から出て来る音がどのようにして意味を持ち始めて言葉として機能しだし... -
品々を結ぶもの〜もののはずみ〜自分は、何かを集める、ということをしない人間だけれど、それは言い換えれば、出会いが少ない、と... -
境界線上にいる〜人間模索〜涼しげな日が続いたかと思うと急に蒸し暑い日がぶり返して来て、涼しさに慣れていた身体にはほんの少... -
秋の響き夕方の町をふらふら歩いていると、何処からか涼しい風が吹いてきて、それだけで目的のなかった歩行が... -
一千年の目覚まし〜生き残った帝国ビザンティン〜数日前、隣町の書店に行き『生き残った帝国ビザンティン』という本を見つけた。ローマ帝国の歴史には... -
朝顔の思いで早起きして散歩に出ると朝顔の花が街の背の高い建物を越して出て来たばかりの朝の日差しに照らされて... -
狂信と寛容〜ガリヴァー旅行記〜『ガリヴァー旅行記』を読みました。何を今更と思われる方もおられるでしょうが、何故か今まで縁がなく... -
morning -
SceneryComposition & Ambient guitar,Feedback guita...