日暮れの音

2014.11.22 群馬

金曜日、仕事を終えてから夜遅くに高速道路を走る。郊外の立体交差は日々過ごしている円環から他の場所へと道を繋ぐように複雑な弧を描いている。

一月の間に立て続けに二回も風邪を引いたせいで疲れていたし、ホテルについたのも深夜だったせいで、目がさめたのは午後に近かった。私はしばらく自分がどこにいるのだか定まらない頭で考えていたけれど、ただ空腹感だけには起き抜けから気がついていて、どこかでこれを満たさねばならないと思った。

辻邦生の『安土往還記』を鞄に入れていたのは偶然だけれど、創業が1582年「本能寺の変」の年の老舗、田丸屋で水沢うどんを食べる。この尾張のシニョーレの物語は夕べ寝付く前にも読んでいて佳境を迎えていたが、そんなことを考えたせいもあるのか、うどんはとてもコシがあって、歴史を噛み締めているように思えた。

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食後、水沢観音を拝観したときに、御朱印帳を忘れてしまったことに気付き、仕方なく御朱印紙をいただいた。すでに終わりかけていたのだが紅葉が美しく、木々は途切れ途切れに葉を降らせていた。