日暮れの音

ハンケン

チケットの半券が好きだ。それもコンビニで発券される決まった用紙に印刷されたものではなくて、美術館や博物館などで展示ごとに図案の変わるものである。そういったチケットは紙質の良いものが多いのでとっておいて読書の際にしおりにしたりするのだが、長い時間の後で再読した本に不意に挟まっているこの半券に突如懐かしい感慨が沸き起こる。感慨深い私である。

モギリという言葉もよい。この頃は電車の自動改札のように機械化された場所も多いが、あのミシン目から切り離すパリッとした音、そして半券をこちらへ返してよこす係員。彼(あるいは彼女)のその行為を称してモギリというのだろうか? あるいは彼自身を指してモギリと呼ぶのか?

いずれにしても彼が返してよこす半券は実際のところ半分ではない。ごくごく一部の小片が切り取られているだけだ。この様子で半券とはいかなる了見であろうか。了見の狭い私である。