日暮れの音

群馬・ハラ ミュージアム アーク

繊細な色彩の山々を背景に淡く青い川がゆるやかに蛇行しながら流れていく。その上を帆を立てた船が進んでいくのだが、その先で色は失われ、輪郭だけが続くかと思うと、そこで唐突に絵は終わる。それからまた一呼吸おいて、色のある景色が戻る。

京都から大坂まで淀川を船で下る行程を描いた長さ1690.5㎝の長大な絵巻、円山応挙作 「淀川両岸図巻」。右から左へと時の経過をあらわし、色の失われる夜、それから朝へ至るまでのダイナミックな演出と細密な描写が共存していて、それに当時の旅人の旅を楽しむような雰囲気までが描き出されている。気がつけば私は船上にいて船旅をしているような気分になっていた。