日暮れの音

駒込散歩

西尾中華そば

所用があったため駒込に行き、来たついでだからと散歩をした。時刻は昼過ぎで何かを食べるにはちょうど良い具合に空腹にもなっていたので、地元で有名らしいラーメン店に入る。壁にかかったメニューにはいくつか不可解な名の付いたものがあって、中でも「ガリガリ中華そば」というのが異彩を放っていたけれど、その他にも「馬鹿中華」という注文する者の勇気を試さないではいない名のラーメンがあった。だがそれを注文する勇気を持ち合わせていない私はしかし、その中から単なる「中華そば」を頼むのも気が引けて、どうやら安全そうな「特製中華そば」を注文したのだった。

注文した品が出てくるまで連れ合いと「ガリガリ中華そば」及び「馬鹿中華」とはなんであろうかと、議論を白熱させてしまったのだが、彼女が推測するに「ガリガリ中華そば」とは麺が細めんなのであろう、という事で、青いソーダ味の氷菓を思い描いてはその思いを打ち消していた私は、なるほど、と合点し、では「馬鹿中華」とは? という相手に、おそらく馬と鹿のチャーシューが乗っているのだ、と安易な推測を語っていた。

「特製中華そば」というから、通常の中華そばに比べて何かが特別なのだろう、と思って注文したのだが出てきたのはチャーシュー麺で、普段そのようなメニューを頼まない私は脂身の多い焼豚にやや胃もたれを覚えつつ、ラーメンを食べた。博多ラーメンのような細麺は魚介を多く使ったダシにはあまり合わないのではないかと思いながら、しかし私は他のことで頭がいっぱいだった。連れ合いの推理によれば「ガリガリ中華そば」とは細麺なのではないか、ということであったが、今その推理は間違っていることがはっきりしてしまったのである。その正体がいよいよ謎に包まれてきた時、さっと入ってきた客が店員にメニューの説明を求めた。

「ガリガリ中華そばはガーリックのガリです。馬鹿中華は薄口醤油で作ったさっぱりした味のラーメンです」

我々は推理しようとした己自身が馬鹿らしくなり、足早に店を去るしかなかった。

旧古賀邸

やや傾斜した坂を登って行くと大きな敷地に木々が沢山生えているのが見えた。それは旧古河庭園だった。元々は明治の元勲・陸奥宗光の別邸だったが、その次男が古河財閥の養子になると古河家の所有になり、その後英国人ジョサイア コンドル博士によって現在の洋館と洋風庭園が設計された。

旧古河庭園

さらに日本庭園を京都の庭師植治、小川治兵衛が作庭した。その敷地面積は30,780.86平方メートルと広大で、ゆっくり歩くと20〜30分はかかる。

もみじ

今年は不幸もあって出かけることもなく紅葉など見ていなかったのだけれど、思いもせず良い紅葉狩りになり、私は昨年故人と見た紅葉が今心のなかに蘇ってくるのを感じた。