日暮れの音

夜明け前

夜明け前

ようやく体がインフルエンザウイルスの封じ込めに成功したらしい発症から六日目の朝、夜明け前に目が覚めて窓外を見ると、東の空低くに山脈のように連なった雲と、そのわずか上空に薄紅色のグラデーション。漸次的移行。ふさわしいと言うにはややいかめしいその日本語の定義とは対照的に、柔らかな濃淡で明け切らない早朝の空を彩っていた。

日の出

いくら快適な暮らしぶりをしていても退屈になってきた幽閉生活もあと一日の辛抱なのだが、明けていく街並みなど見ていると、どこまでも歩いて行きたいような気持ちになる。

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太陽がのぼりベランダでようやく色づき始めた多肉植物に光が射し、部屋の壁が妻が先日箱で買ってきた蜜柑のように染まる。光からその色が消える頃、太陽は直視できないほどの光を放ち、街は朝を迎える。天気は快晴、あと何日もない今年の終わりが病癒えぬ私に「大掃除」という言葉を投げかけてくる。

多肉植物 紅葉