日暮れの音

車窓にて

西国分寺の武蔵野線上りホームは手前で緩い上り坂になるため、進入してくる列車の姿はなんとなく背中を丸めているようで、恐縮しながら、いやいや、どうもすみません、お待たせいたしました、と言っているように見えるのだが、それは先ほどからやたら丁寧な言葉遣いでアナウンスを続ける駅員の口調のせいだろう。

その列車を見送り、下り列車に乗り込むと流れ出す車窓の景色はすっかり夕焼けに染められている。沢山の住宅が鋭角な光に壁を照らされ、日々の生活は通り過ぎる列車の規則的な騒音に窓を叩かれる。

そろそろ今年も二番目の月にかわるというのに、昨年を持ち越したままのような気持ちで、私はそろそろ明かりのつき始めた町の景色を眺めた。